IoT SIMとは?IoTでSIMが必要な場合と最適なSIMとは?

近年はAIやDX化の進歩・普及に伴って、IoTの重要性がますます高まってきています。 そんなIoTをビジネスで導入するにあたっては、SIMの存在が切っても切り離せません。 SIMがIoTにどのようなケースで必要なのか、そしてIoTに適したSIMとはどういったものなのでしょうか。 

ここでは、IoTとSIMの基礎を確認するとともに、IoTでSIMが必要な場合や最適なIoT SIMについて詳しく解説していきます。  

IoT・ SIMとは? 

そもそもIoTやSIMとは、一体どのようなものなのでしょうか。 まずは、IoTとSIMの概要について、具体的な例も用いながら解説をしていきます。  

IoTとは 

IoTは「Internet of Things」の略称で、日本語に直訳すると”モノのインターネット”です。 具体的には、モノをインターネットに接続することをIoTと呼びます。 

そのため、広義な意味ではスマホやPCもIoTと言えますが、一般的にはこれまでインターネットに接続されていなかったモノ・デバイスが対象です。 

そういったモノがIoT化することで、新たな機能やサービス、価値を提供できるようになります。 

IoTをより具体的にイメージしやすいように、ここではわかりやすいIoTの事例を2つ紹介します。  

IoTの事例①ウェアラブルデバイス 

IoTの事例としてもっとも身近でわかりやすいデバイスの1つが、体に身につけて使うウェアラブルデバイスです。 

ウェアラブルデバイスは、着用者にさまざまな情報を伝達したり、着用者の情報を収集したりすることができます。 

中でも真っ先に頭に浮かぶウェアラブルデバイスと言えば、腕時計にIoT SIMを搭載したスマートウォッチでしょう。 スマートウォッチは、スマホと連携して電話やLINEなどの通知・メッセージの確認ができます。 

また、スマートウォッチに搭載された心拍数センサーやジャイロセンサー、加速度センサーで、着用者の身体状態を検知することも可能です。 具体的には脈拍・体温・心拍数はもちろん、運動量や歩数、睡眠時間の計測ができるので、ヘルスケアのサポートに役立ちます。 

また、スマートウォッチも年々進化を続けており、車の衝突事故を検知して自動で通報してくれる機能もあって便利です。 ウェアラブルデバイスにはスマートウォッチのほか、メガネやゴーグル、指輪、ヘッドセットなどさまざまなタイプもあります。  

IoTの事例②見守りデバイス 

見守りデバイスも、IoTの事例としてわかりやすいアイテムの1つと言えます。 

見守りデバイスは、各種センサーを用いて遠隔地の家族や不在時の家の見守りをサポートしてくれるIoTデバイスです。 

センサーそのものにIoT SIMを搭載する場合はもちろん、コンセントプラグや照明などにセンサーとIoT SIMを搭載する場合などがあります。 

照度センサーや温湿度センサー、人感センサーによって、部屋の明るさや室内の温度・湿度、人の動きを検知、スマホアプリでリアルタイムに確認ができます。 人の在不在だけでなく、留守中にもかからわず人の動きがないかなどを確認して、不在時の防犯対策として利用されることも少なくありません。 

また、家族が在宅しているはずなのにトイレや冷蔵庫のドアの開閉がない、深夜に明かりがついたままになっているなど、異常を検知して家族にメール等で通知もしてくれます。 離れて暮らす家族や、共働きで家に子供だけの時間があるご家庭など、見守りデバイスは現代で非常に便利・安心なデバイスです。  

このように、IoTはこれまでできなかった機能やサービスの提供を可能にし、生活やビジネスにおける利便性や生産性の向上に寄与してくれます。  

SIMとは 

SIMは「Subscriber Identity Module」の略称で、日本語では”加入者識別モジュール”と言います。 

カードやチップ形状でスマホに挿入されており、一般的にLTEや5Gといった通信、いわゆるモバイルネットワークを利用するためにSIMが必要です。 

SIMにはそれぞれユニークなIDが採番されており、SIM契約を行ったユーザー情報が記録されています。 IoTにおいては、IoT化したいモノにSIMを搭載することでインターネットへの接続が可能です。 

このように、IoTで利用するSIMをIoT SIMと呼んでいます。  

IoTでSIMが必要な場合と適したSIM 

IoTにおいてSIMは重要な役割を持っていますが、必ずしもどんなIoTデバイスでも必要かというと、そうではありません。 ここでは、IoTデバイスにSIMが必要になる場合と、IoTに適したSIMの特徴について解説していきます。  

2つのIoTネットワーク構成とSIMが必要な場合 

IoTでSIMが必要になるかどうかは、IoTネットワーク構成によって変わってきます。 

IoTで採用されるネットワーク構成は、「直接通信方式」と「デバイスゲートウェイ方式」のいずれかです。 一般的には、直接通信方式よりもデバイスゲートウェイ方式が採用されるケースが多くなっています。  

デバイスゲートウェイ方式では、IoTデバイスからの通信を一旦ゲートウェイに集約し、ゲートウェイがインターネットへ接続する役割を担います。 この場合、IoTデバイスにSIMが搭載されることはありません。 

ゲートウェイのインターネット接続は、ルーターを経由するケースとSIMを用いるケースに分かれます。 

なお、IoTデバイスとゲートウェイ間の通信は、Wi-FiやBlutooth、Zigbeeなどの通信規格が用いられます。 一方の直接通信方式では、その名の通りIoTデバイスが直接インターネットに接続する通信方式です。 IoTデバイス本体がモバイルデータ通信を行うために、IoT SIMの搭載が必要になります。  

IoT SIMと通常のSIMの違い

 IoTデバイスにスマホで使うSIMをそのまま使うケースもありますが、よりIoTに適したSIMもあります。 

スマホで使うLTE、5Gの通信回線のSIMだと、料金プランは安いものでも月に1,000円から数千円はかかります。 

しかし、月額料金が数百円〜数千円程度でサービス提供されることがほとんどのIoTの世界では、通信料金のみで数千円もかかると事業が成り立ちません。 また、IoTサービスによってはIoTデバイスが複数必要になったり、山林など通信環境の整っていない場所に設置されたりするケースも多いです。 

そうなると、よりSIMの通信コストの負担が大きくなってしまいますし、そもそも通信距離が長すぎて安定した通信ができないケースもあります。 そこで、IoTに適したSIM通信規格として提供が期待されているのが、次に紹介するLPWAです。  

IoTに最適な通信LPWA

 LPWAは「Low Power Wide Area」の略称で、LPWAN(Low Power Wide Area Network)と呼ばれることもあります。 従来の通信と比べてLPWAが優れている特徴は、大きく次の3点です。 

1点が省電力、そして2点目が広域・長距離通信が可能である点、最後に安価である点が挙げられます。  電力消費については、通信頻度や設置環境にもよりますが1つのバッテリーで数年も稼働ができるほど省電力です。 

定期的に人が立ち入ることが難しい場所や、環境的にメンテナンスを頻繁に行えない場所にIoTデバイスを設置する場合は重宝されます。 また、LPWAは低消費電力でありながら、通信距離については4GやLTE並み数km〜数十kmと長距離をカバーできる点も優秀です。 

ただ、省電力と長距離通信を可能にするため、逆にLPWAは通信速度が低速となっています。場合によっては、送信容量や送信回数に制限がかかるケースもあります。 

ただ、IoTデバイスではスマホのように動画視聴やゲーム利用など大容量通信が必要ありません。 そのため、データ通信容量を抑えて、非常に安価な料金プランを設定することが可能なわけです。  

IoTは適したSIM選びが大切

 IoTデバイスには、インターネット接続のためにSIMが必要となります。 

ただ、必ずしもIoTデバイスにSIMが必須というわけではありませんし、スマホに使われるSIMがIoT SIMの最適解とも限りません。 

IoTのサービス特性から考えると、低消費電力かつ長距離通信が可能で、料金プランの安価なLPWAのようなSIMがベターです。 構成するIoTデバイスや提供するIoTサービスの特性に合わせて、IoT SIMサービスの比較検討をした上で、最適なSIMを選べるようにしていきましょう。